ブラジル北東部バイーア州都サルヴァドールの貧困街で30年前に創立した自給自足を目指す共同体「キロンボテノンデー」。15年前に本拠地移転以降半ば放置されて来た敷地が存続の危機に陥っています。キロンボを再生し、ブラジルの貧困街からオンラインでもブラジル=日本の子ども・若者たちが繋がり学べる場に再スタートさせる、そんなプロジェクトを応援してみませんか。
澤 明日香(さわ あすか)2015年〜ブラジル、サルヴァドール郊外でコブラマンサ師のもとキロンボ・テノンデー運営。カポエイラアンゴーラと農業を通してコミュニティと生態系が豊かになる活動展開中。バイーア連邦大学博士課程3年。グラフィックデザイナー歴27年。 ↑キロンボ応援ページ on note
自給農+廃材利用のモノづくり+アフロ・ブラジル武術カポエイラで地域の子どもたちの教育・共存の場を創って来たプロジェクトを再スタートさせるべく、金沢出身のデザイナー澤 明日香が2015年よりキロンボに居住して奮闘中。
キロンボ救済「手づくり」クラファン終了まであと…
持続可能なモノづくり・文化活動を通して多様性豊かな教育・共存の場を創って行く活動を、オンライン発信で日本の教育やコミュニティの場へも繋いで行くプロジェクトの応援者を募っています。
【目次】
- 私アスカとコブラマンサ師匠
- 地域の資産、キロンボ売却を止めたい!
- なぜキロンボ再生計画?ブラジルの若年層貧困・犯罪の現状
- サルヴァドールのキロンボとファヴェーラの繋がり
- 貧困から起こる犯罪よりも、多様性豊かな生態系と共存する教育の場を
- 日本とも交流できるキロンボを作ろう
- 循環するモノづくりと教育
- 資金で何ができるか、その事業計画
- 再生から繫がる・拡がる計画
- 最後に〜交流ではなく合流を
1. 私アスカとコブラマンサ師匠
はじめまして。金沢出身、ブラジル北東部バイーア州都サルヴァドール在住の澤 明日香(さわ あすか)です。
私はサルヴァドール市郊外の共同体「キロンボテノンデー」で、3人の地元住民と7匹の保護犬と一緒に暮らしています。この施設は30年前、アフロ・ブラジル武術カポエイラの師匠として有名なコブラマンサ(Mestre Cobra Mansa)によって創立されました。
「キロンボ」とはポルトガルの植民支配下に置かれたブラジルにおいて15世紀より、奴隷として連れて来られたアフリカ大陸の人々が、強制労働の過酷な生活から逃亡し、自給自足・自衛のために形成された共同体を指します。
「キロンボテノンデー」共同体は1991年よりおよそ15年間、サルヴァドール郊外のコウトス地域で自給農、バイオ建築やカポエイラの指導などを通じて、生活・生態系を豊かにする目的でコブラマンサ師匠のもと「近代キロンボ」として運営されて来ました。
ブラジル都市郊外部が大抵そうであるように、キロンボの周辺はファヴェーラ(favela:低所得者居住地域)と呼ばれるいわゆるスラム街とされ、主にその地域の子ども・若者たちの交流の場となって来ていました。
しかし2006年により大規模に活動範囲を拡げるため、師がバイーア州中南部ヴァレンサの密林へとその本拠地を移してから、サルヴァドールの敷地一体はなかば放置され、一時は不法侵入者に乗っ取られた時期もありました。
2. 地域の資産、キロンボ売却を止めたい!
ここでサルヴァドールのキロンボテノンデーの軌跡を時系列で紹介します。
【サルヴァドールのキロンボテノンデー年表】
●1991年:コブラマンサ師、サルヴァドールでキロンボ・テノンデー開始。
→この期間施設を増築、敷地内で農地開発。
→その後、2006年までボランティアを募り子どもたちとのプロジェクトを続ける。
●2006年:コブラマンサ師、バイーア州ヴァレンサの密林の広大な土地へキロンボ移動。
→2007年からおよそ8年間サルヴァドールの施設は放置され不法侵入者に占領されるなど荒涼化。
●2015年:澤、ロンドンよりサルヴァドールの荒涼化したキロンボへ移住。
→この期間、澤とコブラマンサ師で主にキロンボ周辺ファヴェーラの若者支援。
→2019年まで計3回、市街地のファヴェーラの子どもたちをキロンボでのイベントに招待。
→澤、サルヴァドール市街地のファヴェーラで子どもたちにカポエイラ指導の実習3年後、パンデミックにより指導活動中断。
●2018年〜:コブラマンサ師、ヴァレンサ密林のキロンボでの活動を補強するため、サルヴァドールの敷地を売り出すが、パンデミックの影響もあり買い手付かず。
→世界各地より招待されるカポエイラ講習会で得た収入でキロンボ運営をしていたコブラマンサ師匠、パンデミックにより収入源を絶たれる。
●2021年〜:澤、キロンボ周辺のファヴェーラの子ども・若者たちとのプロジェクト再開。
●2021年12月:ヴァレンサ密林のキロンボの一部が5mの冠水が数日続く洪水に襲われる。コブラマンサ師の自宅と畑の大部分が水没した。
●2022年〜:サルヴァドールのキロンボの敷地に売り手が付かないため、行政に競売にかけられる危機に瀕する。(←今ここ)
2018年よりサルヴァドールのキロンボは売りに出され、それまでの期間の固定資産税と海岸線の不動産に課される税金は、売れた値段から引かれるという不動産業者との契約でした。
しかし、その後のパンデミックによる不景気も相まって全く買い手が現れませんでした。
そうするうちに3年が過ぎ4年目に入ろうとする今、未納税の抵当としてキロンボの敷地が行政によって競売にかけられる可能性が大きくなってきたのです。
そんな中、昨年末ヴァレンサの密林にあるキロンボテノンデー本部も甚大な自然災害を被り、数日間5mにも冠水したコブラマンサ師の住居とその周りの広大な畑は、すべて建て直さねばならないことになりました。
幸いヴァレンサ本部施設の大部分は無事でしたが、自らの居住地と畑の再築の負担がのしかかり、パンデミックにより収入を絶たれたコブラマンサ師匠には、サルヴァドールのキロンボを手放すしか道は残されていません。
[2021年末にキロンボを襲った洪水により、本部も支援が必要な状況に。]
【諦めかけた想い、サルヴァドールのキロンボを復活させたい】
かねてよりこのサルヴァドールのキロンボの敷地で、かつてコブラマンサ師が運営していたプロジェクトを再開したいという想いがあった私は、子どもたちへのカポエイラ指導の経験値を上げるため、サルヴァドール市街地のファヴェーラで数年指導の手伝いをしていました。
しかし2018年にコブラマンサ師がサルヴァドールのキロンボ売却を試みたため、一時はその想いを諦め、当時カポエイラ指導の手伝いをしていたファヴェーラでのプロジェクトに転向しようとも考えました。
その後、パンデミックによりカポエイラのクラスも全て中止となった2020年を経て、2021年コブラマンサ師より、サルヴァドールのキロンボ売却に手間取っている、このままだと競売にかけられる可能性も出てきたと聞きました。
ロンドンでデザイナーとして長年働いて来た私は、2004年にカポエイラに出会ってのめり込んだ挙句、一度はカポエイラの聖地であるサルヴァドールで、師匠であるコブラマンサの元でがっつり学んでから、その後の身の振り方を考えようという暴挙に出たのが2015年。
しかし、この6年間カポエイラに何かを残して来ただろうか?学んだものを返して来ただろうか?ロンドンでの仕事も辞め、高齢になった両親の住む日本に帰りもせず、育ててくれた彼らに残せるものも無く、カポエイラにも残せたものも無い。
【それならば、2015年から想い続けて一度は諦めかけたキロンボ再生のプロジェクトを立ち上げよう!
考え抜いた結果、その頃ちょうどコブラマンサ師と共にキロンボ・テノンデーをNPO法人にする手続きをしていたことも重なり、それならばサルヴァドールの敷地をそのNPO法人の所有にし、私のしてきたことをこれからコミュニティの資産として残そうと思い到りました。
思い立った私はコブラマンサ師と相談した結果、サルヴァドールのキロンボ再生に全面的に協力してくれることとなり、財政難を乗り越えるためにまず、
1)競売にかけられるのを阻止するため、未納税全額。
2)サルヴァドールのキロンボの不動産の半分を、私とコブラマンサ師で立ち上げるNPO法人の所有とする売却額の一部。
この2点をまとまった金額で支払い、NPO法人をベースに私がキロンボで支援を得ながら活動できる基盤を作ることになりました。
【キロンボをもう一度、地域の資産に戻そう】
それからはキロンボでの農地開発を一から始め直し、コロナ規制も緩和し始めた9月頃からキロンボ近所のファヴェーラの子どもたちにカポエイラを教える準備をして来ました。
そして最も重要な事項は資金調達の方法です。
2018年からバイーア連邦大学の博士課程に入学した私は、2019年より幸いにもブラジル政府より奨学金を受けることができていました。しかし、キロンボ運営費(光熱費、保護犬の世話を含む維持費や若者へのバイト代)に大部分を費やしている私には、キロンボを救済できるような貯金もありません。
2015年から幾度となくブラジル国内で行政の支援を得ようと試みて来ましたが、そもそも支援も少なく競争率も高い難関です。また、クラウドファンディングも定着していないブラジル国内で支援を募るのは現実的では無いと判断しました。
今回のクラウドファンディングに踏み切った理由には、このような経緯があります。
[左(上):2007年、子どもたちが苗を作る場所として作られた当時。右(下):2021年、母屋の雨樋が壊れているため大量の雨水が流れ落ち、湿気も多く荒涼化。]
[左(上):2006年、手入れが行き届いていた頃。右(下):2021年、人手が足りないため草刈りするのが精一杯。]
[左(上):2006年、グラフィティ体験をする子どもたち。右(下):2021年、きれいだった壁もボロボロ。]
↓キロンボ・テノンデー、ヴァレンサ本部の最新活動報告↓